TECHSCORE BLOG

クラウドCRMを提供するシナジーマーケティングのエンジニアブログです。

「インセプションデッキを1日で仕上げる」に取り組んだ話

2021年1月、シナジーマーケティングが提供する CRM サービス Synergy! の新オプションとして画像投稿機能をリリースしました!🎉🎉

この記事では、画像投稿機能をさらっとご紹介しつつ、この開発プロジェクトの立ち上げで取り組んだ「インセプションデッキを1日で仕上げる」についての感想をまとめます。

石田 一博(イシダ カズヒロ)
2018年11月中途入社
車が(運転するのも見るのも)大好きな化石タイプのおじさんに片足を突っ込んだおっさんです。
好きな食べ物はラーメン。苦手な食べ物はキウイ。

画像投稿機能

画像投稿機能とは、その名のとおり、Synergy!のフォームから画像を投稿できる機能です。 例えば、写真を添付して応募するようなキャンペーンなどに利用することができます。 投稿された画像はデータベース検索で顧客情報と紐付けて確認することができますし、投稿ファイルを一括でエクスポートすることもできます。 f:id:techscore:20210204092210p:plain ※ 画像だけでなくドキュメントファイルも投稿できます。

これまでは「ファイル投稿フォームオプション」という名称で、当社でカスタマイズを請け負って制作していた機能ですが、これが管理画面から設定できるようになりました。

お客様(企業担当者様)からすれば、要件を伝えて、見積り内容を確認して、発注して…、という手間のかかる手続きが不要になりますので、「画像投稿したい」から「画像投稿できた」までの期間を短縮できます。

当社としても、要件を確認して、見積りをして、要員のスケジュールを確保して、カスタマイズして…、がなくなりますので、まさにWin-Winな機能なのです。

と、機能についてはここまでにして、ここからはプロジェクト初期の取り組みについて紹介します。

インセプションデッキの活用

もともとファイル投稿フォームオプションは、Synergy!の人気オプションの一つとして存在していました。 つまり、製品の機能として組み込まれてはいないものの、サービスとして既に提供している実績がありました。 もっと言えば、裏側の仕組みは既に存在していたわけです。 それをどうやってSynergy!の機能に組み込むのか、いつリリースできるのか、が焦点でした。 そして、時間をかけずにスモールスタートで始める、これも社内から求められていました。

初期段階では、従来の企画プロセスにのせてスケジュールを組み、企画だけで1ヵ月~1ヵ月半程度かかかる計算でした。 走り出しから「時間をかけずに」の壁に阻まれてしまったのです。 そこで、アジャイル開発のツールとして知られる「インセプションデッキ」を使ってみよう、となりました。

インセプションデッキは、アジャイルサムライという書籍で紹介されている、プロジェクトの内容を明らかにするツールです。 (インセプションデッキのテンプレートも公開されています。

通常は数日から2週間程度かけてつくるインセプションデッキですが、これを関係者で集まって1日で仕上げよう! とチャレンジすることになりました。 当時は新型コロナの感染状況が少し落ち着いていたこともあり、会議室に集まってわいわい議論したのは良い思い出です。(※ディスタンス、飛沫、消毒、換気には細心の注意を払いつつ…)

その1日で目指すゴールは

  • プロジェクトに対する共通認識を全員で持つこと
  • すぐに開発に取り掛かれるよう機能一覧をまとめること

でした。

人は欲深い生き物ですので、インセプションデッキだけに満足せず、翌日から開発に着手できるよう機能一覧を作ってスコープの確定までやり切りました。

メンバーはPM、デザイナー、エンジニア、GTM(Go-To-Market)担当がメインで、そこにCTOと製品の歴史、仕組みに詳しいメンバーにも参加してもらいました。 参加メンバーをどこまで広げるかは色々な考え方があると思いますが、個人的には短期間で物事を決めて進めたいのであれば、Goを出せる人、リスクを冷静に判断できる人を巻き込むのが、とても有効だと思っています。

当然、事前の準備も大切です。 このミーティングまでに分担して現状分析をしましたし、エンジニアには実現イメージを膨らませておいて欲しいとお願いし、当日持ち寄って議論の材料にしました。こういった準備も結論までの時間短縮に役立ちました。

当日はインセプションデッキを作りながら、「これは機能一覧を仕上げてからもう一回考えよう」など、柔軟にアジェンダを組み替えながらメンバー全員で仕上げていきました。 午前11時から午後6時まで、休憩を挟みながら計6時間ほどかけて完成しましたが、あっという間の楽しい時間でした。 甘いものを用意すると、より捗るかと思います🍪

開発に着手できれば、あとは従来の確立された開発プロセスに沿って物事が回り始めます。 走り出しをコンパクトにするために、インセプションデッキは優れたツールだと実感しました。

もちろんこの取り組み方が、あらゆるプロジェクトで有効だとは思っていません。 今回のプロジェクトの特徴として

  • 既に実績のある実現方法(処理方式)を用いる
  • 業務フローも既存の仕組みに相乗りできる

という点が挙げられます。 ゼロからの企画、構築であれば、実現方法やリスクの議論に相応の時間がかかるでしょう。

今後の展望

そんなチャレンジを経てリリースした画像投稿機能ですが、まだまだ生まれたての赤ちゃんです。 (裏側は実績のある仕組みなので、妙に老け顔の赤ちゃんかもしれませんが) ユーザビリティの面で改善すべき点はあるでしょうし、裏側の仕組みも最適化できると考えています。 今後はフィードバックを集め、より良い機能を目指して進化していきたいと思います。

また、開発プロセスとしても他のプロジェクトに生かせる取り組みだったと思いますので、良いところを当社の仕組みに取り入れていきたいと思います。