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シナマケイベントレポート – Dify × n8n で始めるAIエージェント入門セミナー

「シナマケミートアップ」は、ITやクリエイティブ好きな人が知識や経験をシェアし、交流する場です。

今回はいつものLT会とは趣向を変え、エックスサーバー株式会社との共催でAIエージェント初心者向けセミナーを開催しました!テーマは「Dify × n8n の始め方」です。


イベント概要

  • イベント名: 【AIエージェント初心者向けセミナー】Difyやn8nの始め方を勉強しませんか?【大阪開催】
  • 開催日: 2025年2月27日(金)19:00〜
  • 会場: エックスサーバー大阪本社(グランフロント大阪 タワーA 32F)
  • 参加費: 無料
  • テーマ: Dify × n8n によるAIエージェント入門

普段のシナマケミートアップはLT(ライトニングトーク)形式ですが、今回はセミナー形式での開催です。エックスサーバーの吉野さんによるDify講座、シナジーマーケティングの西尾さんによるn8n講座の2本立てです。

会場はグランフロント大阪の32階。基本は飲食NGですが、横にはバーカウンターが解放されており、そこでは軽食もOKというちょっとお洒落な雰囲気の中での開催でした。


セッション 1: 誰でもできるDify始め方講座

最初のセッションは、エックスサーバー株式会社の吉野 太基さんによるDify講座です。

エックスサーバーと「ユーザーアブソリュート」

冒頭では、エックスサーバーの企業紹介がありました。国内シェアNo.1のレンタルサーバーを提供しており、国内サイトの約3割が同社のサーバー上で稼働しているとのこと。「ユーザーファースト」のさらに上を行く「ユーザーアブソリュート(ユーザー絶対主義)」という理念が掲げられていることも紹介されました。

同社が提供する「XServer VPS」には「アプリイメージ」という機能があり、DifyをはじめとするAIツールの環境を申し込みと同時に自動構築できます。SSL設定も自動で行われるため、サーバー構築に不慣れな方でも安心してスタートできるのが大きな強みです。

そもそもDifyとは?

Dify(ディフィ) は、誰でも簡単にAIアプリを作れるオープンソースのノーコード開発ツールです。ドラッグ&ドロップで操作でき、ChatGPTやGeminiなど複数のAIモデルを連携して使えます。PDFやCSVを読み込ませて独自のデータベースを作る「ナレッジベース機能」も備わっており、日本語ローカライズの早さから国内での採用実績も増えています。

Difyの特に大きな強みとして、以下の点が挙げられていました。

  • セキュアな環境(ローカルLLM): データを外部へ出さず、隔離環境で動かせる点。金融・医療など機密性の高い領域でも使いやすい。都道府県のシステムでも採用候補として検討されたほどの信頼性。
  • 共有の手軽さ: URLを1つ共有するだけで社内展開でき、HTMLタグを発行して社内ポータルに埋め込める点。

コスト面のリアル ─ セルフホストのすすめ

コストに関するリアルな話題も印象的でした。Difyの公式クラウド版(プロフェッショナルプラン)は月額$59ですが、「日本円で7,000円くらいかと思って調べたら、円安の影響で9,000円以上になっていた」という具体的なエピソードが語られ、会場からも共感の声が上がっていました。

そのためDify自体は無料で利用できる「セルフホスト」での運用という選択肢があります。VPSのサーバー代だけで済むため、コストを大幅に抑えられます。エックスサーバーVPSの場合、メモリ6GB以上のプランが必要になるとのことでした。

ライブデモ ─ 3分クッキング形式でAIアプリを実演

セミナーのハイライトは、吉野さんによるライブデモでした。

① 料理分析アプリ

最初のデモは「料理の写真をアップロードすると、AIが料理名・主な材料・作り方・カロリーを分析して出力する」というアプリの作成です。画像アップロード機能をONにして、Gemini 2.5などのAIモデルを設定し、システムプロンプトに「あなたは料理の専門家です…」と書くだけ。わずか5〜10分で完成する手軽さが印象的でした。

なお、AIモデルの連携方法についても具体的に解説があり、Google AI Studioにアクセスして無料のGemini APIキーを取得し、Dify側の「モデルプロバイダー」設定にペーストするだけという簡単さでした。

② 稟議書チェックシステム(実業務向け)

2つ目のデモは、より実践的な業務活用を意識した稟議書のAIチェックシステムです。アップロードされたPDFやWordの稟議書からテキストを抽出し、AIが「購買」「人事」「契約」といったカテゴリに分類。それぞれ専用のAIノードに接続し、「承認推奨」「条件付き承認」「却下」などの一次判断を行います。

さらに応用例として紹介された「マギシステム」が会場の興味を惹きました。これは1つの稟議に対して、異なる指示を与えた3つのAIを用意し、それぞれに承認・否定の判断をさせるという多角的なチェック体制です。吉野さんが「エヴァンゲリオンのマギシステムのようなもの。カスパーだけが裏切る、みたいなこともできますよ」と冗談を交えて解説すると、会場から笑いと感嘆の声が上がっていました。


セッション 2: エンジニアの「手元の自動化」を加速するn8n

続いて、シナジーマーケティングの西尾 義英さんによるn8n講座がスタートです。

n8nとは? ─ エンジニアの「ちょうどいい」自動化ツール

n8n(エヌエイトエヌ) は、Difyに比べるとよりエンジニア向けのワークフロー作成ツールです。AIを活用したプロダクト開発のプロトタイピングなどに活用されています。クラウド版を利用する場合は月額20ユーロ(約3,600円)からですが、Difyと同様にセルフホストも可能です。

西尾さんからは、以下のような実用例が紹介されました。

  • Slack → GitHub 自動起票: Slackのコメントにスタンプ(いいね等)を押すと、AIが内容を要約してGitHubにタスクを自動起票
  • QAボット: Web広告に関する質問に対し、公式ページから情報を検索・取得して回答を生成し、結果をスプレッドシートに記録
  • ファイル検索・回答AI: Difyのナレッジ機能のような、NotebookLM風のファイル検索・回答ツール

エンジニアにとっての3つの強み

西尾さんが特に強調していたのは、n8nが持つ「エンジニアにとってのちょうど良さ」です。

1. クレデンシャルの一元管理

APIキーなどの認証情報をテキストファイルに散らかすことなく、セキュアに一元管理できます。n8nは「どの情報をリクエストのどこに入れるか」を理解しているため、設定が非常に簡単です。

2. すべてがJSONという透明性

ワークフロー自体やノード間を流れるデータがすべてJSON形式で扱われます。画面上のノードをコピーしてテキストエディタに貼り付けると、そのまま裏側のJSONコードとして貼り付けられるほどの透明性があることが実演されました。コピペで編集やインポート・エクスポートができるため、エンジニアにとって非常に馴染みやすい設計です。

この透明性を活かした開発テクニックとして、「モックデータ活用」も紹介されました。一度実行した結果のログ(JSONデータ)をコピーし、次のノードの入力に直接貼り付けることで、毎回最初からワークフロー全体を動かさずに部分的なテストが可能になります。

3. 高い拡張性

行き詰まったらJavaScriptやPythonでコードを直接書いたり、REST APIを叩いたり、HTMLでシングルページアプリケーションを作ることも可能。エンジニアの腕次第でいくらでも拡張できる余地がある点が強調されていました。

AIとn8nの高度な連携 ─ ワークフローをAIに作らせる

セッション後半では、AIとn8nのさらに踏み込んだ連携が紹介されました。

MCP(Model Context Protocol)の活用として、n8nで作ったワークフローをMCP経由でAIエージェントに登録し、AI自身がn8nを操作してGoogle Analyticsなどの外部ツールからデータを取得・分析するという使い方が紹介されました。

さらに、ワークフロー自体がJSONファイルであることを活かし、AIにJSONを書かせてn8nのサーバーに同期させることで、AIにワークフローそのものを開発させるというアプローチも。VS Code内でn8nの環境を丸ごと動かし、AIコーディング支援を受けながらJSONを書き換えてワークフローを構築する拡張機能も登場しているとのことでした。

ただし、現状のAIはn8nの仕様を完全に理解しているわけではなく、ハルシネーション(嘘をつくこと)も多いという注意喚起もありました。まずは手動でノードを動かして動作確認を行い、少しずつAIに任せていくという堅実なアプローチが推奨されています。


まとめ

今回はいつものLT会とは異なり、エックスサーバーとの共催によるセミナー形式での開催でした。2つのセッションを通じて、AIエージェント開発の入り口がしっかりと示された回でした。

  • Dify: ノーコードで誰でもAIアプリを作れる手軽さと、セルフホストによるコスト面・セキュリティ面の優位性
  • n8n: エンジニアにとって馴染みやすいJSON中心の設計と、MCPやAIによるワークフロー自動生成の可能性

個人的に印象的だったのは、両ツールに共通する「セルフホスト」というキーワードです。クラウド版の手軽さと引き換えに発生するコストやデータ管理の懸念に対して、自前の環境で動かすという選択肢が、円安の影響もあって今まさにリアルな判断ポイントになっていることを実感しました。

登壇者の皆様、そしてご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました!

次回のシナマケミートアップも、どうぞお楽しみに!

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hiraoku

暇があったらクライミングしているフロントエンドエンジニアです。

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