こんにちは。シナジーマーケティングの馬場です。
2026年8月21日、梅田サウスホールで開催された「Developers Summit 2026 KANSAI」に、展示スポンサーとして出展しました。
シナジーマーケティングとしてブースを構え、私も終日会場で参加してきました。ブース準備の裏側や「伝える」ではなく「話しかけてもらう」設計への工夫については、デザイナーが執筆したnote『伝える』ではなく、『話しかけてもらう』ブース設計へ|デブサミ関西2026 出展レポートに詳しくまとまっていますので、ぜひ併せてお読みください。
本記事では、「ブースの現場で見えた参加者の生の声」と、「パネルディスカッションやセッションを通じて考えたこれからのエンジニアリング」についてお伝えします。
あなたとAIの協業、どんな感じ?(シールアンケート結果)
ブースでは、来場者の皆様に「あなたとAIの協業、どんな感じ?」というテーマでシールアンケートを実施しました。
縦軸に「AI依存度(100%任せている 〜 全く使っていない)」、横軸に「感情(つらい/大変 〜 ハッピー/ラク)」をとった2軸マップを作成し、職種ごとに色分けしたシールを貼っていただく参加型企画です。

最終的に115〜125枚のシールが集まりました。職種別の内訳は以下の通りです。
- エンジニア: 85〜95枚
- PM・ディレクター: 15〜18枚
- その他(営業・マーケ・学生など): 12〜15枚
- デザイナー: 3枚
分布から見えた「AI協業の現在地」
分布のボリュームゾーン(いちばん大きな山)は、予想通り右上の「AIにたくさん任せていて、ハッピー」でした。さすがデブサミに足を運ぶ技術感度の高い皆様です。
一方で無視できないのが、左上の「たくさん任せているが、つらい」に集まったエンジニアのシールです。
貼っていただいた方に直接理由を聞いてみると、苦しさの筆頭にあがったのは「コードレビューの負担増加」でした。AIが高速にコードを自動生成するようになった結果、それらを検証・レビューする人間の負荷が急増しているのです。この「AI時代の新たなボトルネック」は、現場のエンジニアにとってリアルな悩みだと改めて実感しました。
左上の「しんどさ」に向き合う:社内プロジェクト「HAYABUSA」の取り組み
実は、この「AIを導入したことで発生する新たなつらさ」は、まさに私たちが社内で向き合ってきた課題そのものでした。
私は当日、クロージングのパネルディスカッション「AIがコードを書く時代の『Re:Developer』──関西CTOが語る、エンジニア組織とプロダクト開発」に登壇し、はてなの大坪弘尚(motemen)さん、スマレジの岡田直緯さんとともに、これからの開発について議論しました。
しかし、40分という限られた時間では語り尽くせなかったため、シナジーマーケティングでの具体的なアプローチをここで少し補足します。
開発リードタイムを劇的に短縮する「HAYABUSA」
シナジーマーケティングでは2026年上半期、AIを活用して開発プロセス全体のリードタイムを圧縮する「HAYABUSA」プロジェクトを立ち上げました。世界最速の鳥のように「加速の速いチーム」を目指し、個人レベルに留まっていたAI駆動開発をチーム全体へ展開する取り組みです。
まず現状のプロセスを観察し、リードタイムを阻害している5つのボトルネックを特定しました。
- コードレビューの待ち時間(シールアンケート左上の正体)
- 仕様の分散・後出しによる手戻り
- 結合テストの工数増大
- デザイン作成の待ち時間
- リリース判断の遅れ
具体的なアプローチと成果
これらのボトルネックに対し、私たちは「ツール導入」にとどまらない運用改善を行いました。
- AI自動レビューの導入: プルリクエスト作成時にAIがファーストレビューを実施。人間はビジネスロジックと動作確認という「人間にしかできない判断」に集中できる環境を整えました。
- テスト作成の自動化: 画面仕様書をAIが解釈可能な形式に同期。結果として4,800件のテストケースをAIで自動生成する体制を構築しました。
- プラクティスの標準化: 個別のアプローチで生まれた有用なAIスキルやプロンプトを、チーム共通のプラグインとして標準化。現在40個以上のプラグインが複数チームで活用されています。
この結果、チーム内のコード生成の9割以上がAIによるものへとシフトしました。
プロセスを「再設計」するということ
半年の取り組みを通じて見えてきた最大の学びは、「個々の工程をAIで速くしても、新しいボトルネックは工程の『つなぎ目』に現れる」ということです。
従来の「人間中心に設計された開発フロー」にAIを部分適用するだけでは限界があります。最初から「AIが存在すること」を前提に開発フロー自体を再設計(Re-design)することが不可欠です。
AIを単に「使う」だけで終わらせず、何が組織のしんどさになっているのかを見極め、運用へ投資する。シールボードの左上にシールを貼ってくれた皆様、ぜひ一緒にこの切り替えを進めていきましょう。
名前のない仕事をしよう
当日はブース対応と登壇準備に追われ、他セッションの聴講は難しかったのですが、オープニングセッションであるとほほ(杜甫々)さんの「『とほほのWWW入門』これまでの30年とこれからの30年」だけは拝聴することができました。
その中で、非常に深く心に残ったスライドがあります。
中世、狩猟や農作業をしていた人は「電話」という概念すら想像していなかった。 近代、電話交換手や縫製工場で働いていた人は「Googleマップを作る仕事」を想像していなかった。 そして現代の私たちが、未来の新たな役割「◯◯」を想像できていないのは当然である。 だからこそ、その「◯◯(新しい価値)」を生み出す人になれたらいい。
私はこの話を聞いた瞬間、思わず次のようにXへポストしていました。
想像もしてないものになりたい #devsumi pic.twitter.com/zy4w3Wqrmc
— AyakoBaba | SynergyMarketing CTO (@babaayakosym) 2026年8月21日
AIの発展により、ソフトウェア開発のあり方は激変しています。ソフトウェアファクトリーを作るにしても、AIプロダクトを組み上げるにしても、今まさに求められているのは「情報と業務の高度な構造化」です。これは、プログラミング言語を使わない新しいスタイルの「ソフトウェアエンジニアリング」と言えます。
かつて電話交換手の時代に「Googleマップを作る人」が予測できなかったように、私たちがこれから向かう先にある仕事には、まだ名前がついていません。
だからこそ、既存の枠組みに捉われず、「名前のない仕事」を自ら定義し、生み出していきたい。
おわりに
シナジーマーケティングでは、定期的にconnpassにてエンジニア向けイベントを開催しています。ブースの巨大QRコードの遷移先でもあったコミュニティですので、ぜひ気軽に遊びに来てください!

シナジーマーケティング株式会社 取締役兼CTO。
好きなものはたびとかに。きらいなものはチーズと申請。