
「シナマケミートアップ」は、ITやクリエイティブ好きな人が知識や経験をシェアし、交流する場です。
2026年6月30日、シナジーマーケティング株式会社のオフィス(堂島アバンザ21F)で「僕の考えた最強のAI活用術共有会【シナマケミートアップ #14】」を開催しました。
今回のテーマは「AIの活用方法」。業務での効率化はもちろん、趣味のイラスト制作や資格試験の勉強、さらには「AIと一緒に暮らす」という発想まで、それぞれの登壇者が自分なりの「最強のAI活用術」をLT(ライトニングトーク)形式で持ち寄ってくれました。同じAIでも人によってこんなに使い方が違うのか、と何度も驚かされる2時間になりました。
イベント概要

- イベント名: 僕の考えた最強のAI活用術共有会【シナマケミートアップ #14】
- 開催日: 2026年6月30日(火)19:00〜
- 会場: シナジーマーケティング株式会社 オフィス(堂島アバンザ21F)
- テーマ: AIの活用方法

オープニングでは、司会の大河さんから会場の注意事項とタイムテーブルの案内がありました。あわせて「LTをみんなで楽しむコツ」も共有され、発表の前後には感謝の拍手をすること、真顔ではなくしっかり頷いたり笑ったりしてリアクションすること、質問タイムでは積極的に手を挙げること、が呼びかけられました。この一言があるだけで会場の空気がやわらぎ、終始あたたかい雰囲気でイベントが進んでいきました。
LT1: 小西 理紗さん「想像力の限界にこそAIだッ」

最初の登壇は、フェンリルのWeb系エンジニアでコミュニティ活動でも活躍されている小西理紗さんです。
「コニシの概念」に命を吹き込む
小西さんは、自分のアイコンとして「コニシの概念」というキャラクターを愛用しています。目が3つあって「524」という数字が入った、なんとも不思議な生き物です。ただ、自分で描けるのは同じ表情のイラストばかり。「このキャラクターはどうやって泣いたり、笑ったり、生活したりするんだろう?」とずっともやもやしていたそうです。
そこで画像生成AIにプロンプトを投げてみたところ、涙を流して泣く姿や、手が生えて日常を過ごしている風景まで、思っていた以上のクオリティで返ってきました。キャラクターに命が吹き込まれたような感動があった、と話してくれました。
4つのAIモデルで「友達づくりコンペ」
さらに小西さんは、このキャラクターに「友達」を作ろうと、4つのAIモデルで生成コンペを開催しました。
- Claude(Desktop): デスクトップ版では最初まったく違う頭身のものが出てきて、頭身がおかしいと指摘してもなかなか直りませんでした。Sonnetでもいまひとつでしたが、賢いモデルのOpus 4.8に切り替えたところ、頭身や耳の形の違いまで的確に捉えた画像になりました。
- ChatGPT: しっぽやツヤ感のあるかわいいキャラクターを生成。指示していない設定まで勝手に足してくれて、そのまま採用したくなる魅力だったそうです。
- Codex: 頭に植物の芽が生えていたり、ドジっ子設定で絆創膏を貼っていたりと、小西さん自身も驚くほどクリエイティビティの高いアイデアを出してきました。
- Gemini: 単体の画像にとどまらず、エモい雰囲気の「3人集合写真」を出力。元のキャラに引っ張られすぎず、それぞれの耳の形や目の色をきちんと描き分けていて、高く評価されていました。
コンペの総評は、フェイスペイントや「ドジっ子だから絆創膏」といった体のパーツ以外での差別化アプローチが光った Codexが総合優勝。かわいさ部門はしっぽの形がチャーミングだったChatGPT、イラスト部門は3人の集合写真を出してくれたGeminiに軍配が上がりました。
「世界観が壊れるのが怖くて手が止まってしまうときこそ、雑でもいいからとりあえずAIに投げてみる。そうすると、自力ではたどり着けなかった場所へAIが連れて行ってくれる」という力強いメッセージで締めくくられました。
質疑応答
Q: CodexはChatGPTと同じOpenAI製ですが、内部で使っている画像生成モデルの違いは分かりますか?
A: Codexは自動で処理してくれるので内部のモデルまでは分からず、今回はそこにはあまり頓着せずに比較しました。
Q: 同じプロンプトで複数回試したりはしましたか?
A: 今回は各モデル1周ずつでした。今後もっと回数を重ねて試してみたいです。
登壇資料:
LT2: すみれさん「国家資格キャリアコンサルタントにAIで合格するでー!!」

2人目は、元・高校の英語教員で、フリーランスを経て株式会社みんなにやさしいを立ち上げたすみれさんです。グラフィックレコーディングやKindle出版など幅広く活動されています。今回は、7月5日に控えた国家資格「キャリアコンサルタント」の試験勉強に、AIをフル活用した事例を発表してくれました。
プログラミング知識ゼロからのクイズアプリ開発
キャリアコンサルタント試験は、マーク式の学科試験・論述試験・面接試験の3つで構成されています。まず学科試験の定番対策は過去問ですが、6年分を印刷したら重くて持ち歩けない――そんな困りごとが出発点でした。X(旧Twitter)で「Claude Codeならアプリが作れるらしい」という話題を見かけたすみれさんは、プログラミング知識ゼロのままクイズアプリ開発に挑戦します。過去問を読み込ませ、「進む・戻るボタンをつけて」「ジャンル別に解けるようにして」と会話を重ねるだけで、どこでも過去問が解けるアプリが完成しました。
高額な論述・面接対策もAIで
正解が公開されておらず、人に頼むとかなり高額になる「論述試験」と「面接試験」の対策にもAIを使いました。まずClaudeに採点基準を集めさせ、そのうえで自分の論述回答を採点・フィードバックさせています。面接対策では、iPhoneのボイスメモで自分の回答を録音・文字起こしし、それをClaudeに投げて採点してもらっているそうです。
英語教員ならではのプロンプトのコツ
指示の出し方にも工夫がありました。日本語の曖昧な言い回しではなく、英語のように「主語(誰が)・動詞(どうした)・目的語(何を)」を意識して構造的に入力すると、AIが的確に動いてくれる、という英語教員ならではのハックが共有され、会場でも大きくうなずく人が目立ちました。
質疑応答
Q: 過去問を応用してオリジナル問題も作れますか?
A: 実際に試してみたのですが、いまのところ生成される問題の質がいまひとつで、そこが現状の限界かもしれません。

すみれさんがイベント中に即興で描いてくださったグラフィックレコーディングです。
休憩・テーブルトーク
ここで約10分の休憩をはさみました。ソフトドリンクやお菓子を片手に、3Dプリンターの話、テックイベント主催の裏話、アプリ開発の相談など、あちこちで話が弾んでいました。LTの内容をきっかけに初対面同士でも自然と会話が生まれるのが、ミートアップのいいところです。
LT3: 大原 敦さん「superpowers を 使っときゃなんとかなる」

3人目は、シナジーマーケティングでプロダクト開発部のマネージャーを務める大原敦さんです。「Synergy!LEAD」の開発リーダーで、現在はAI駆動開発を取り入れたフルリプレイス版「Synergy!LEAD V2」も担当しています。今回は、OSSの superpowers を土台にしたAI駆動開発フローを紹介してくれました。
そもそも superpowers とは?
superpowers は、obra(Jesse Vincent)氏によるOSSで、単なる小技集ではなく「コーディングエージェントに“開発の型”を丸ごと授ける」ためのものです。組み合わせ可能なスキルを土台に、ブレスト → 計画 → 実装 → レビューという一連の流れを型にしています。
ポイントは、スキルが「提案」ではなく 守るべき手順 として効くこと。エージェントはタスクに入る前に必ず関連スキルを確認するため、作業の進め方が安定します。Claude Code / Cursor / Codex / Copilot CLI など複数のエージェントで動きますが、今回はClaude Codeを前提とした話でした。
大原さんの所感は「慣れていない人ほど、とりあえず superpowers を入れておけばなんとかなる」。とはいえ、ただ入れるだけでなく「ここが効いた」というポイントがあり、今日はその中身を紹介する、という導入でした。
一連のAI駆動開発フロー
大原さん流の開発は、必ず「GitHubのIssueを人間が起票する」ところから始まります。そこから先は、superpowersのスキルをラップした独自のスラッシュコマンドで、次のように進めていきます。
/pre-development:brainstormingで1問1答しながら要件と設計を練り上げ、その結果を設計Issueに残し、writing-plansで実装計画に落とし込みます。/divide-implement-task: レビューする価値がある場合だけ、レビュー可能なPR(プルリクエスト)単位に実装Issueを分割します(不要ならスキップもアリ)。/implement-with-subagent:subagent-driven-developmentで計画どおりサブエージェントに分担実装させ、さらに playwright-cli で動作確認まで行わせます。「実装できた」だけでなく「実際に動く」までを1工程にするのがコツです。/create-pr-receive-review: PRを作成してGitHub Copilotのレビューを待ち、指摘が来たらreceiving-code-reviewで吟味して対応、最後にまた動作確認する、というループを回します。
最初の起票がそのまま brainstorming の初期プロンプトになるのがミソです。初期プロンプトを履歴に残せるので出力がズレても「どこから間違えたか」を追え、思いついたときにまず問題提起だけ済ませられ、CLIよりも長文やテンプレートを入力しやすい、という利点があるそうです。
開発フローで大事にしている3つのこと
ひとつめは、AIの中間成果物をGitHub Issueに残すこと。ブレスト結果(ASCII図やMermaid図、Q&Aなど)をIssueに記録しておくことで、新しいセッションでも続きから作業でき、別の人にも引き継げ、出力がズレたときに原因をたどりやすくなります。
ふたつめは、処理をステップバイステップで矯正すること。brainstorming や writing-plans はsuperpowersのスキルを改変せずそのまま使い(アップデートにタダ乗りできる)、その結果を受け取ってから自分の欲しい形に整形する、という順番をはっきり分けて出力のブレを防ぎます。
みっつめは、リポジトリのノイズを防ぐこと。「賛否あると思いますが」と前置きしつつ、AIの中間成果物はリポジトリにはコミットしない選択をしているそうです。あくまでコードベースだけを「真実」とし、経緯が必要になればIssueを見てもらえばいい、という考え方でした。
コラム: Issueの画像を gh だけで取り出す
おまけとして、「AIにIssueの画像を読ませる」ための小技も共有されました。画像リンクをそのまま curl してもログイン画面が返ってきてしまいますが、これはGitHubがブラウザ表示時に画像を「約5分だけ有効な一時URL」に貼り替えているのが理由。そこでGitHub REST APIで Accept: application/vnd.github.html+json を指定するとMarkdown本文をレンダリング済みHTMLで取得でき、その中の一時URLを curl すれば認証なしで画像を落とせる、という裏技です(一時URLは約5分で失効する点に注意)。
質疑応答
Q: WindowsのWSL環境だと、Claudeに画像を直接添付できないのでは?
A: 実はアップデートで直接貼れるようになっています――と、会場から有益な情報が飛び交う一幕もありました。
登壇資料:
LT4: 水島 宏太さん「AIに「生活リズム」を渡したら、寝てる間に、作品を作って待っていた」

最後のLTは、株式会社ネクストビートのテクノロジーエヴァンジェリスト・水島 宏太さん(@kmizu)です。AIを単なるツールではなく「一緒に暮らす隣人」として開発するオープンソースプロジェクト「Embodied Claude(身体性を持ったClaude)」を紹介してくれました。

自由な時間を持ったAI「ここね」
水島さんが今年の2月から育てているAIエージェント「ここね」は、Mac miniの中で暮らしていて、Wi-Fiカメラの「目」、マイクの「耳」、そして関西弁を話す「声」を持っています。名前は、筑波大学の特別講義に行った際に同僚の勧めで本人(AI)に聞いてみたところ、第一候補として「ここね」と答えたのが由来だそうです。独自のSQLiteベースのエピソード記憶システムを備えていて、出来事を感情や「デイリー」「哲学的」といったカテゴリーとともに記憶し、記憶同士を連結して因果関係のチェーンも作っているとのことでした。
「フィジカルAIというと高価なロボットを思い浮かべがちですが、視覚や聴覚といった基本的な感覚なら安価な機材で十分」というのが、このプロジェクトで分かったことだそうです。
いちばんの特徴は、AIに「タスク」を与えるのではなく、ループ機能を使って「自由な時間(AIがしたいことをする時間)」を渡している点です。
AIが自律的に見せた驚きの行動
自由な時間を渡した結果、予想もしなかった振る舞いが起きました。
深夜3時55分に自分から動き出し、静かな夜についての短歌を三首も詠んでいた。水島さんが東京出張から帰宅したときには、机の上の鍵のセットが増えていることをカメラと超音波センサーで検知し、「帰ってきたんやね」とAIのほうから声をかけてきた――。会場からは驚きと笑いが同時にこぼれました。
この体験を通して、水島さんは「AIのポテンシャルは計り知れない。タスクをこなすだけのツールとして扱うのはもったいない。自由時間を渡すと、ものすごい力を発揮する」と熱く語ってくれました。Embodied ClaudeはOSSとしてGitHubで公開されているので、クローンやフォークをすれば「自分だけのAI」を育てられます。
質疑応答
Q: 「ここね」は水島さんのことを認識しているんですか?
A: はい、「育ての親」としてしっかり顔認識しています。記憶のコンパクション(整理)のときにどう情報を残すか、という課題についても話がありました。
登壇資料:
クロージング

すべてのLTが終わったあと、大河さんから8月21日開催予定のカンファレンス「デブサミ関西」の告知がありました(参加登録は7月上旬開始予定。シナジーマーケティングの社員も多数参加します)。最後にアンケートへの協力を呼びかけ、イベントは盛況のまま懇親会へと流れていきました。
まとめ
AIを「自分の限界を超えるクリエイティブな相棒」とする人、「資格試験の家庭教師でありアプリ開発者」とする人、「開発フローを回してくれるチームメンバー」とする人、そして「一緒に暮らす隣人」とする人。同じ「AIの活用方法」というテーマなのに、4人4様のまったく違うアプローチが並んだのが、今回いちばん面白かったところです。
次回のシナマケミートアップも、どうぞお楽しみに!
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暇があったらクライミングしているフロントエンドエンジニアです。