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Next.js 16.3 は AI エージェントに何を渡すのか: docs 同梱からエラー修正・Skills まで

はじめに

Next.js 16.3 の安定版が 2026 年 8 月 3 日に公開されました。公式が 16.0(2025 年 10 月)以来最大のアップデート と位置づけるリリースです。目玉は Instant Navigations ですが、この記事で取り上げるのは AI コーディングエージェント向けの機能のほうです。next dev を実行するだけで、Claude Code や Cursor に読ませるルールファイルと、インストールしたバージョンに合ったドキュメントをフレームワーク側が用意してくれます。この記事ではその仕組みと使い方を紹介します。

本記事の情報は 2026 年 9 月時点のものです。執筆時点の npm の latest は 16.3.4(2026 年 8 月 31 日公開)です。Next.js は頻繁にアップデートされるため、仕様が変わっている場合があります。 最新情報は Next.js 16.3 のリリースノート公式の AI エージェント向けガイド をご確認ください。

想定する読者は、Next.js を業務で使いながら、Claude Code や Cursor、Codex も日常的に使っている開発者です。本記事の内容は、create-next-app@latest(next 16.3.4)で検証用のプロジェクトを作り、実際に next dev を実行して確認しました。

公式ガイドが整理する 4 つのステップ

16.3 の AI 関連アップデートをまとめた公式ブログは、次の問いを立てています。

What would Next.js look like if it were designed primarily for agent-driven development? We're not all the way there yet, but we're getting closer with every release.

「エージェント駆動開発のために設計されていたら、Next.js はどんな姿になるのか。まだそこまで到達してはいないが、リリースごとに近づいている」という趣旨です。16.3 は、その問いに対する現時点の回答をまとめたリリースにあたります。

この流れは 16.3 で急に始まったものではありません。16.0 では、エージェントが Next.js の情報を取得するための Next.js DevTools MCP サーバーが追加されました(以下、DevTools MCP サーバー)。16.2 ではドキュメントのパッケージ同梱と実験的な next-browser が加わりました。16.3 の機能群は、その延長線上にあります。

これらの機能をどう組み合わせるかは、公式の AI エージェント向けガイドが 4 つのステップとして整理しています。

  1. 同梱されたドキュメントの場所を教える(学習時の記憶ではなく、同梱された一次情報を読ませる)
  2. ランタイムを見せる(動いているアプリの実際の状態を確認させる)
  3. エラーを修正の起点にする(発生したエラーをそのまま修正の指示として渡す)
  4. 複数ステップの作業を Skills に渡す(手順の決まった作業を手続きとして任せる)

ここからは、この 4 ステップの順に説明します。

next dev が書き出す AGENTS.md と CLAUDE.md

ステップ 1 で使うのが、パッケージに同梱されたドキュメント(bundled docs)です。next をインストールすると、node_modules/next/dist/docs/ にドキュメントが同梱されます。中身は 01-app/ 02-pages/ 03-architecture/ 04-community/ index.md で、公式サイトと同じ構造です。数えてみると .md / .mdx は 452 ファイルありました。オフラインでも読めますし、Next.js をアップグレードすれば docs も一緒に更新されます。

この docs の場所をエージェントに教えるのが AGENTS.md です。公式ガイドは create-next-app@canary を案内しています。実際に試したところ、@latest(next 16.3.4 が入ります)でも AGENTS.mdCLAUDE.md が生成されました。不要なら --no-agents-md を付けます。CLAUDE.md@AGENTS.md の 1 行だけ、AGENTS.md は次の管理ブロックだけです。

<!-- BEGIN:nextjs-agent-rules -->

# This is NOT the Next.js you know

This version has breaking changes — APIs, conventions, and file structure may all differ from your training data. Read the relevant guide in `node_modules/next/dist/docs/` (resolved from this file's directory; in monorepos the `next` package may not be visible from the repo root) before writing any code. Heed deprecation notices.

This block is written and re-added by `next dev` — verify at `node_modules/next/dist/server/lib/generate-agent-files.js`. Removing it from a diff only re-creates the uncommitted change; committing it with your work keeps the tree clean.

<!-- END:nextjs-agent-rules -->

このブロックが伝えているのは「このバージョンはあなたの学習データとは違う、コードを書く前に node_modules/next/dist/docs/ を読め」という 1 点だけです。ブロックを消しても next dev が作り直すため、公式は差分から外さずそのままコミットすることを勧めています。既存プロジェクトでも扱いは同じで、管理ブロックがなければ next dev の起動時に生成されます。そのときのログは次のとおりです。

▲ Next.js 16.3.4 (Turbopack)
✓ Generated AGENTS.md and CLAUDE.md for AI agents. Set `agentRules: false` in next.config to disable.

上書きではなく upsert です。# Project rules とだけ書いた AGENTS.md を置いて next dev を実行すると、既存の内容はそのまま残り、末尾に管理ブロックが追記されました。このとき CLAUDE.md は作られませんでした。ログも Generated AGENTS.md for AI agents. と、AGENTS.md だけを報告します。generate-agent-files.js の分岐を読むと、AGENTS.md が既にあればそちらだけを更新し、両方が無いときにだけ両方を作る実装になっています。2 回目以降の起動では、ブロックが現行と同じなら何も変更しません。

生成条件は 12 種のエージェント検出

公式ガイドは、生成の条件を「AI コーディングエージェントが検出されると」としか書いていません。何をもって検出とするのか、実装を追いました。書き込み担当の generate-agent-files.js にあるのは、マーカー間を upsert する処理だけです。判定は server/lib/app-info-log.jsensureAgentRulesForDev() にあります。エージェントでなければ何もせず、現行ブロックが既にあっても何もしません。

検出の本体は、Next.js が同梱する @vercel/detect-agentdetermineAgent() です。次の 12 の条件を上から順に調べ、最初に一致したものを採用します。

見る環境変数 / 条件 判定
1 AI_AGENT(値がそのまま名前になる) 任意の名前
2 CURSOR_TRACE_ID cursor
3 CURSOR_AGENT / CURSOR_EXTENSION_HOST_ROLE=agent-exec cursor-cli
4 GEMINI_CLI gemini
5 CODEX_SANDBOX / CODEX_CI / CODEX_THREAD_ID codex
6 ANTIGRAVITY_AGENT antigravity
7 AUGMENT_AGENT augment-cli
8 OPENCODE_CLIENT opencode
9 CLAUDECODE / CLAUDE_CODE claude
10 REPL_ID replit
11 COPILOT_MODEL / COPILOT_ALLOW_ALL / COPILOT_GITHUB_TOKEN github-copilot
12 ファイル /opt/.devin の存在 devin

筆者の Claude Code のシェルには、AI_AGENT=claude-code_2-1-259_agentCLAUDECODE=1 の両方が設定されていました。前者は Claude Code がバージョン付きで設定する値です。determineAgent() を呼ぶ 1 行を変数に入れておき、環境変数を 1 つずつ外しながら実行すると、表の優先順位どおりに結果が変わります。nextrequire するため、node_modules/next のあるプロジェクトのルートで実行します。

$ DETECT="require('next/dist/compiled/@vercel/detect-agent').determineAgent().then(r=>console.log(JSON.stringify(r)))"
$ node -e "$DETECT"
{"isAgent":true,"agent":{"name":"claude-code_2-1-259_agent"}}
$ env -u AI_AGENT node -e "$DETECT"
{"isAgent":true,"agent":{"name":"claude"}}
$ env -u AI_AGENT -u CLAUDECODE -u CLAUDE_CODE node -e "$DETECT"
{"isAgent":false}

1 回目は AI_AGENT の値がそのまま名前になり、AI_AGENT を外すと 9 番目の CLAUDECODEclaude と判定されます。両方を外すとエージェントではないと判定されます。

環境変数をすべて外した状態で next dev を実行すると、Generated ... の行は出ず、ファイルも作られませんでした。検出対象のエージェント経由で起動したときだけ生成されます。挙動を試したいだけなら AI_AGENT=anything next dev で十分です。

生成を止めたいときは next.config.tsagentRules: false を書きます。公式はオンのままにすることを勧めています

同梱 docs にないページの取り方

  • nextjs.org/docs 配下は、URL の末尾に .md を付けるだけで plain Markdown として取得可能Accept: text/markdown ヘッダーでも同様)
  • 同梱 docs に含まれない /docs/messages 配下のページも、.md を付けることで Markdown として取得可能
  • インデックスは /docs/llms.txt、全文の一括取得には /docs/llms-full.txt(いずれも llms.txt 規約に準拠)

たとえばインストール手順のページなら、/docs/app/getting-started/installation.md がそのまま Markdown で返ります。

冒頭の version: には、nextjs.org が配信している最新バージョン(執筆時点では 16.3.4)が入ります。読んでいる記述がどのバージョンのものかは、ここで分かります。ただし、プロジェクトに入れた Next.js のバージョンと一致するとは限りません。同梱 docs にあるページは、同梱 docs を読むほうが確実です。

ここまではエージェントに読ませる静的な情報でした。次は、動いているアプリの状態をどう取り出すかです。

エージェントにランタイムを見せる

同梱 docs が教えるのは、Next.js の仕様という静的な情報です。一方、いま動いているアプリの状態は dev サーバーとブラウザの中にあり、エージェントからは直接見えません。Next.js 16.3 はこの状態を、端末の出力、DevTools MCP サーバー、agent-browser の 3 つの経路でテキストとして取り出せるようにしています。エージェントに近いものから順に説明します。

まず端末で分かること

エージェントが最初に読むのは next dev の端末出力です。16.3 の端末出力には、次の 2 つの情報が含まれます。

1 つは接続先です。next dev は自分の PID とポート、URL を .next/dev/lock に書きます。

{"pid":42809,"port":3000,"hostname":"localhost","appUrl":"http://localhost:3000","startedAt":1789027497080}

同じプロジェクトで 2 つ目の next dev を起動すると、空いているポートでいったん立ち上がった直後に lock を検出し、終了コード 1 で終了します。そのとき既存サーバーの URL と PID、ログの場所を表示するので、エージェントは既存サーバーに接続するか kill して立て直すかを選べます。

⚠ Port 3000 is in use by process 42809, using available port 3001 instead.
▲ Next.js 16.3.4 (Turbopack)
- Local:         http://localhost:3001
✓ Ready in 326ms
⨯ Another next dev server is already running.
- Local:        http://localhost:3000
- PID:          42809
- Dir:          /path/to/project
- Log:          .next/dev/logs/next-development.log
You can access the existing server at http://localhost:3000,
or run kill 42809 to stop it and start a new one.

もう 1 つはブラウザの console です。console に出たエラーと警告は、既定で端末にも転送されます(16.2 の時点ではエラーのみでした)。next.config.tslogging.browserToTerminaltrue にすれば、すべての出力まで範囲を広げられます。エージェントがいつも読んでいる端末出力に、クライアント側の失敗も流れてくるわけです。

ただし端末に流れるのは、すでに起きたことの記録です。「このルートはいまコンパイルが通るか」のように現在の状態を知りたければ、問い合わせ先が別に必要です。

DevTools MCP サーバーに問い合わせる

その問い合わせ先が、dev サーバーの中で動く /_next/mcp エンドポイントです。next dev を実行するだけで起動し、ルートの一覧、サーバーログ、コンパイル状況などを返します。

16.3 では knowledge 系のツールを取り除き、MCP サーバーを小さくしました。代わりに入ったのが、プロジェクト全体を見る get_compilation_issues と、単一ルートだけを対象にする compile_route です。next build を実行しなくても、動いている dev サーバーがコンパイルの可否を答えます。実際に compile_route を呼ぶと、対象ルートの問題の有無だけが返りました。

$ curl -s -X POST http://localhost:3000/_next/mcp \
    -H 'Content-Type: application/json' \
    -H 'Accept: application/json, text/event-stream' \
    -d '{"jsonrpc":"2.0","id":1,"method":"tools/call","params":
         {"name":"compile_route","arguments":{"routeSpecifier":"/products/[slug]"}}}'
event: message
data: {"result":{"content":[{"type":"text","text":"{\"routeSpecifier\":\"/products/[slug]\",\"issues\":[]}"}]},"jsonrpc":"2.0","id":1}

自前のエージェントクライアントから使う場合は、プロジェクト直下の .mcp.jsonnext-devtools-mcp を追加します。動いている dev サーバーはクライアント側が自動で見つけます。後述の Skills はこのエンドポイントを直接呼ぶため、この設定は必要ありません。

{
  "mcpServers": {
    "next-devtools": {
      "command": "npx",
      "args": ["-y", "next-devtools-mcp@latest"]
    }
  }
}

MCP が答えられるのは、フレームワークから見える範囲です。実際に何が描画され、クライアント側で何が起きているかは、ブラウザ側で確かめるしかありません。

agent-browser で描画結果を確かめる

agent-browser(vercel-labs)は、DOM、console、network、Web Vitals を構造化テキストで返す CLI です。16.2 の実験的な next-browser を統合したものです。

導入と起動

導入は、CLI 本体と、CLI が操作するブラウザの 2 段階です。後述の next-dev-loop skill は 0.31.1 以上を必要とします(執筆時点の npm の最新は 0.37.1)。

npm install -g agent-browser
agent-browser install

next dev が動いている URL を開くときに --enable react-devtools を付けると、React DevTools 相当の情報もテキストで取れます。skill 経由で起動する場合は自動で付きます。

agent-browser open http://localhost:3000/products/shoes --enable react-devtools

react tree でコンポーネントの構成を見る

開いたページの React ツリーは react tree で取り出せます。出力は次のとおりです(全 122 行のうち冒頭のみ)。

$ agent-browser react tree --json | jq -r .data.tree
# React component tree
# Columns: depth id parent name [key=...]
# Use `react inspect <id>` for props/hooks/state. IDs valid until next navigation.
0 12 - Root
1 13 12 HeadManagerContext.Provider
2 14 13 Root
3 15 14 ServerRoot
4 16 15 Context.Provider
5 17 16 AppRouter

ヘッダー行には、props や hooks は react inspect <id> で見ること、ID は次のナビゲーションまで有効であることが書かれています。読み手をエージェントと想定した出力です。

なお 0.37.1 では、--json を付けない react tree✓ Done の 1 行しか表示しませんでした。ツリー本体は JSON 出力の data.tree に入っているため、上の例では jq で取り出しています。

react suspense で修正の結果を検証する

ツリーを眺めるだけなら DevTools のパネルと変わりません。エージェントにとって役に立つのは、判断材料を返してくれるコマンドのほうです。

次の章で扱う Cache Components のエラーには、[stream] という修正候補があります(fetch を子コンポーネントに移して <Suspense> で包む)。これを適用すると端末のエラーは消えます。しかし、それで本当に静的なシェルが先に描かれるかは、端末と MCP のどちらを見ても分かりません。修正後のページで react suspense --only-dynamic を実行すると、まだ動的な境界がどこに残っているかと、その原因が返ります。

$ agent-browser open http://localhost:3000/products-stream/shoes --enable react-devtools
$ agent-browser react suspense --only-dynamic
# Suspense Boundary Analysis
# 1 dynamic holes (static boundaries hidden; pass without --only-dynamic to see them)

## Summary
- Top actionable hole: ProductPage - fetch (server-fetch)
- Suggested next step: Push the request-bound async work into a smaller leaf or split static siblings out of this boundary.
- Most common root cause: fetch (server-fetch) affecting 1 boundary
(以下、境界ごとの表と読むべきファイルの一覧が続く。全 22 行)

エラーを消しただけでは fetch を抱えた境界が 1 つ動的なまま残ること、そして次の一手(fetch をさらに小さなコンポーネントに移す、またはキャッシュする)が 1 コマンドで分かります。後述の Copy prompt が手順の 5 番と 6 番で求めている「再読み込みして描画を確認する」「シェルが空になっていないか確かめる」は、この出力で検証できます。

ここまでのコマンドは、エージェントも同じように実行します。端末の出力と agent-browser はエージェント自身のシェルで実行するだけで、特別な接続設定はありません。ただし、DevTools MCP サーバーだけは、skill を使わない場合に .mcp.json への登録が必要です。3 つをどの順で使うかまで含めてエージェントに渡すのが、後述の next-dev-loop skill です。

ここまでは状態を読ませる工夫でした。Next.js 16.3 はエラーそのものの形も、エージェント向けに作り替えています。

エラーを修正の起点にする

この章で扱うのは、Cache Components を有効にしたアプリで起きるエラーです。<Suspense> の外で、キャッシュしていないデータを await すると、そのルートはプリレンダーできず、エラーになります。Next.js 16.3 はこのエラーに、3 つの修正候補を必ず添えるようにしました。端末でも dev overlay でも next build でも、同じ 3 択が出ます。dev overlay ではさらに、選んだ修正をエージェント向けのプロンプトにまとめる Copy prompt ボタンが付きます。

端末に出る 3 択のエラー

next.config.tscacheComponents: true を書き、<Suspense> の外で await fetch() を呼ぶページを置きます。それを next dev で開いて確かめました。ページ自体は HTTP 200 で描画されますが、端末には次の出力が出ます。

Error: Route "/products/[slug]": Next.js encountered uncached data during prerendering.
`fetch(...)` or `connection()` accessed outside of `<Suspense>` prevents the route from being prerendered, blocking the page load and leading to a slower user experience.
Ways to fix this:
  - [stream] Provide a placeholder with `<Suspense fallback={...}>` around the data access
  - [cache] Cache the data access with `"use cache"` (does not apply to `connection()`)
  - [block] Set `export const instant = false` to allow a blocking route
Learn more: https://nextjs.org/docs/messages/blocking-prerender-dynamic
    at ProductPage (app/products/[slug]/page.tsx:5:21)

3 択の中身は次のとおりです。

  • stream<Suspense> で包んでプレースホルダーを出す
  • cache"use cache" でデータ取得をキャッシュする(connection() には使えない)
  • blockexport const instant = false でブロッキングを許容する

どれもトレードオフのある設計判断で、機械的な正解はありません。エラーが失敗の報告ではなく、ラベル付きの選択肢になっています。

Learn more の先の blocking-prerender-dynamic は、修正候補ごとに Patterns / Trade-offs / Gotchas という定型で書かれています。エージェントが読む前提の構成です。

dev overlay の Copy prompt

dev overlay の issues を開くと、同じ 3 つが横並びのカードで表示されます。各カードにコード例と Copy prompt ボタンが付きます。

Stream の Copy prompt を押したところ、クリップボードに入ったのは 49 行のプロンプトでした。冒頭はこの 1 行です。

Apply the [Stream] "Wrap in or move into Suspense" fix to the Next.js Insight raised in this project.

続く Steps には、次の 7 つの手順が並びます。

  1. ブラウザを操作できる状態にする(未設定なら next-dev-loop skill を入れる)
  2. 失敗箇所を特定し、勝手にスコープを広げない
  3. 該当するエラーページの Patterns と Gotchas を読む
  4. パターンを適用する
  5. ブラウザで再読み込みして実際の描画を確認する
  6. シェルが空になっていないか確かめる(<Suspense> を高い位置に置きすぎると、シェルはあるのに中身が全部ストリーミングになる)
  7. 共有コード(レイアウトやサイドバー)を触ったなら、兄弟ルートも確認し直す

末尾には、エラー本体がそのまま埋め込まれます。メッセージ、3 つの修正候補、コードフレーム、Next.js version: 16.3.4 (Turbopack) までが 1 つのプロンプトに入ります。修正の対象と方針、そして検証の手順までが、まとめてエージェントに渡ります。

なお 公式ブログ の掲載例は、next-dev-loop の案内先として skills.sh を挙げています。検証した 16.3.4 が生成したプロンプトは GitHub のソース を指していました。

next build と CI ログでの見え方

同じコードで next build を実行すると、プリレンダーに失敗して exit 1 になります。ここでも同じ 3 つのラベル付きの修正候補が出ます。dev 版とは文言が少し違い、build 版は cookies() / headers() / params / searchParams まで列挙します。ソース位置の代わりに、next build --debug-prerender を使うよう促します。dev overlay のない CI ログを読むエージェントも、同じ修正候補を受け取れます。

ここで渡せるのは、エラー 1 件に対する修正です。複数のステップにまたがる作業には、Next.js 16.3 は別の受け皿を用意しています。

複数ステップの作業を Skills に渡す

Next.js 16.3 は Skills の位置づけも整理しました。方針は「フレームワークの知識は同梱 docs から得る。Skills は lookup ではなく workflow のためにある」です。App Router の規約やキャッシュ API を解説していた旧来の knowledge 系 Skills(vercel-labs/next-skills)は廃止されました。npx skills update を実行すると、インストール済みのものから削除されます。公式は、都度外部から取りに行く方式よりも、あらかじめ同梱した情報の方がベンチマーク成績で優れているという結果を挙げています(nextjs.org/evals)。

4 つの first-party Skills

代わりに提供されるのは、手順が決まった作業を回す 4 つの first-party Skills です。

Skill 何をするか
next-dev-loop 編集 → ブラウザ操作 → console / network / React ツリーの確認、という検証ループを回す。DevTools MCP と agent-browser の両方を使う
next-cache-components-adoption Cache Components を有効化し、機能単位でルートを直していく。1 ブランチでまとめて進めるか、PR を分けるかを選べる
next-cache-components-optimizer 対象ルートについて「クリック時に見せたい UI」を失敗する instant() テストとして書き、それが通るまでリファクタする。通ったテストは一緒にコミットされる
next-partial-prefetching-adoption Partial Prefetching を有効化し、全リンクが共通のローディングシェルを再利用する状態まで進める

導入コマンドはいずれも共通で、npx skills add vercel/next.js --skill <name> を実行します。Skills のソースは vercel/next.js の skills ディレクトリにあり、skills.sh からも参照できます。

next-dev-loop がまとめる 3 つの情報源

ランタイムの章で見た端末、DevTools MCP サーバー、agent-browser を、エージェントの作業手順として 1 つにまとめたのが next-dev-loop です。

作業の前に、skill はまず /_next/mcpcurl で直接呼び、使えるツールの一覧を取得します。MCP クライアントを経由しないため、.mcp.json の設定は必要ありません。続けて agent-browser--enable react-devtools 付きで起動します。要求するバージョンは 0.31.1 以上です。

編集のたびに、skill は次の 4 つを順に確かめます。

  1. コンパイルが通るか(get_compilation_issues
  2. サーバーとブラウザにエラーが出ていないか(/_next/mcp
  3. ページが意図どおりに動くか(agent-browser でページを操作する)
  4. React の描画、状態、Suspense の境界がどうなっているか(React DevTools)

ランタイムの章で個別に実行した compile_routereact suspense は、この手順の中で使われるコマンドです。導入後は、エージェントに次のように指示します。

After every edit, verify the page still works at runtime using the next-dev-loop skill.

エラーから検証までを 1 ループにする adoption skill

next-cache-components-adoption は、前章の 3 択エラーとこの検証ループをつないだものです。機能 1 つごとに、次のループを回します。

  1. ルートを開き、dev overlay に出た blocking のエラーを読む
  2. エラーに付いた nextjs.org/docs/messages のページを開き、そこに書かれたパターンで修正する
  3. 修正のたびにブラウザで確かめる

skill の本文は、ビルドが通ることや overlay からエラーが消えることを「ルートが実際に動く証明ではない」と書いています。静的なシェルと、その後にストリーミングされる中身という Cache Components の動作は、ランタイムでしか確認できないためです。この検証には next-dev-loop を使うことが強く推奨されています。使えない場合の代替手段(別のブラウザ自動化、ビルドのみ、人間への引き継ぎ)も優先順に列挙されています。

進め方は Incremental と Direct の 2 つから選びます。Incremental は、codemod で全ページとレイアウトをいったん検証対象から外してビルドを通します。そこでユーザーの確認を挟み、機能ごとのループへ進みます。Direct は cacheComponents: true を書いてそのままループに入り、ビルドが報告するブロッキングなルートを順に処理していきます。

同梱 docs でフレームワークの仕様を教え、ランタイムを読める形にし、エラーに修正候補を付ける。前の章までの 3 つの要素は、Skills の中では 1 つの手順として組み合わさっています。

まとめ

Next.js 16.3 の 4 ステップは、情報提供からランタイムの可視化、エラー訂正、作業委任までを一続きにするものです。その前提として、next dev が起動元のエージェントを環境変数から見分けます。同梱の docs は、その場所を AGENTS.md / CLAUDE.md が伝えます。DevTools MCP と agent-browser がランタイムを読める形にし、エラーは修正方針と Copy prompt を添えて出ます。複数ステップの作業は Skills が引き取ります。

最初の一歩は、自分のプロジェクトで next dev を実行して AGENTS.md が生成されるかを見ることです。生成されなければ、エージェント環境の外から起動しているか、agentRules: false が効いているか、すでに現行のブロックが入っているかのいずれかです。生成を確認できたら、複数ステップの作業を任せるために next-dev-loop を入れる段階に進めます。

ルールファイルを書いてフレームワークの癖を教え込むのは、これまで開発者の仕事でした。エージェント向けの情報提供をフレームワーク側が担う流れは、Next.js だけで終わらないのではないかと見ています。

参考リンク

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hiraoku

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