2021年8月からシナジーマーケティングではOSS*1開発者、組織への寄付を始めました。
この記事では寄付をする(スポンサーになる)までの経緯と活動を紹介します。私は寄付をする際に必要な情報の調査、社内手続き、実際の寄付手続きを担当しました。
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シナジーマーケティングでのOSS活用事例
シナジーマーケティングのプロダクト開発では多くのOSSを活用しています。
例えば、
- Synergy!の土台を支えるコンテナオーケストレーションシステムとしてKubernetes
- 検証用のスマホをリモート化するSTF
- ユーザインタフェース構築のためのJavaScriptライブラリとしてReact
このように、多くのOSSに支えられており、欠かせないものになっています。
寄付の動機
OSS開発者への寄付が簡単にできるということを知ったのをきっかけに、開発者に対する尊敬、感謝の意を行動で表すため、また継続的な開発をしてもらうための支援として寄附をすることにしました。
なお、これは社内Slackの雑談チャンネルで発案されたものが採用され、こうして全社の活動になりました。
寄付先の選定
寄付をするにあたり、まず大方針を決めました。
- プロダクトを開発、運用する際に使用しているすべての OSSが対象
- シナジーマーケティングとして外部に提供しているプロダクトで利用しているもの
- プロダクトに直接は含まれてはいないが、開発、デプロイなどで利用しているもの
- 大人数で開発しているものより、少人数で開発しているものを優先
- 予算はひとまず 10 万円 / 年
- はじめてのことで何もわからないので、これはえいやで決めた予算です
- 継続して支援したいという思いを込めて、一括ではなく毎月払い
- 金額や期間については寄付される側の方で設定されるため、希望の金額・期間にできない場合もあります
寄付をするOSSの候補は社内のSlackで募集しました。
候補の中で寄付を募集していたものは2つありました。両方に寄付をしても予算内に収まるため、どちらにも寄付することにしました。
候補に上がった OSS に対し、
- 寄付を受け付けているか
- Web 上で簡単に寄付をすることができるか
の観点で調べたところ、寄付を受け付けている OSS の数は多くはありませんでした。なんとなく(根拠はありませんが)もっと多くの OSS が寄付を受け付けていると思っていましたので、驚きました。
Evans
Evansとは、gRPCクライアントツールです。gRPCサーバのRPCメソッドを呼び出して動作確認をする際などに利用されます。 多くのgRPCクライアントツールがある中で、当社エンジニアが普段使っているものです。
gRPC の CUI のクライアントツールを調べてまとめてみた | TECHSCORE BLOG
こちらはメルペイのエンジニアの方が開発しているようです。個人で開発をされているため、今回の寄付が、今後の開発に少しでもお役に立てばいいなと考えています。
OpenAPI Generator
OpenAPI Generatorとは、OpenAPI SpecificationというRESTful API仕様の記述フォーマットに従ったAPI仕様書を基に、APIクライアントのコード、スタブサーバのコード、コンフィグレーションファイル、ドキュメントを自動で生成できるツールです。 Synergy!のメールAPIのインターフェースはOpenAPI Specificationのフォーマットで公開しています。この API 仕様書の開発や生成に OpenAPI Generator を使用しています。
Synergy! のメール API を使ってメール配信を行う | TECHSCORE BLOG
寄付の方法
Evans には GitHub Sponsors を使って、OpenAPI Generator には Open Collective を使って寄付をしました。いずれもそれぞれの GitHub ページでの指定に従っています。 両方ともOSSに寄付ができるプラットフォームです。
GitHub Sponsors
寄付をする方法はとても簡単ですぐにできます。 対象のOSSにあるこのボタンから進めていきます。
手順はGitHub公式ドキュメントに載っていますが、見なくても画面の案内に従えばできるくらい簡単だと感じました。
Open Collective
OpenAPI GeneratorではGitHubでSponsorボタンをクリックすると外部サイト(Open Collective)に遷移します。
Open CollectiveでもGitHub Sponsorsと同様に寄付は簡単で、金額や期間、支払情報などを画面に従って入力していくだけで完了できました。
寄付完了
GitHub Sponsorsで寄付をしたらアカウントのページのSponsoringタブで確認できます。
https://github.com/orgs/SynergyMarketing/sponsoring
Open Collectiveの場合はアカウントのページのContributions(貢献)というところで確認できます。
https://opencollective.com/synergy-marketing#category-CONTRIBUTIONS
最終的な今回の寄付の内容は以下のようになりました。
OSS | 金額 | 頻度 |
---|---|---|
Evans | $1 | 毎月 |
OpenAPI Generator | $45.54(約5000円) | 毎月 |
※Evansの開発者は受け付ける寄付額を $1 に指定していました。
おわりに
GitHub Sponsorsの存在を知ったことをきっかけに社内活動が始まり、ひとまず2つのOSSのスポンサーになりました。
企業としてのアカウントの持ち方、支払関係の設定や扱い等の調査や、社内の手続きがとても大変でした。利用規約をしっかり読んだり、社内のあっちこっちへ連絡を取って、いろいろ申請して... 会社として何かをする時はこうやってしっかりやらないといけないんだなと、とても勉強になりました。 GitHub SponsorsとOpen Collectiveでの寄付自体はどちらも直感的な操作で、ポチポチするだけで数分でできてしまうとても簡単な作業でした。
シナジーマーケティングでは今後もOSSへの寄付を続けていきたいと思っています。OSS開発者の皆さんのお役に立てれば幸いです。
*1:ソースコードの使用や改変等が無償で自由にできるソフトウェア