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クラウドCRMを提供するシナジーマーケティングのエンジニアブログです。

新人エンジニアに伝えたいこと - エンジニアリングを楽しむための3つのコツ -

こんにちは、CTO の馬場です。 4月です。今年も当社に7名の新卒が入社しました。振り返ると、私は毎年新卒の総合職の方向けに話す機会をもらっているのですが、技術職の方向けに話す機会がないんですよね。なぜだ。
ということで、当社の技術者に期待することを書き記したいと思います。

馬場 彩子(ババ アヤコ)
2001年入社のシナジーマーケティング最古のエンジニア(ほんとは2番目)。
私が新卒で会社に入社したのは1999年。前世紀です。2000年になるとコンピューターが誤作動して世界が破滅する、という「Y2K問題」というのがあり、年末年始待機していたことを覚えています。懐かしい。
すきなものはビールとカニ。きらいなものはチーズ。


「学習」をアップデートする

ひとことでいうと、みなさんに期待することは学習をアップデートすることです。ようやく学校を卒業したのにまた「学習」か……早く人や社会に貢献することをしたいんだ...… という方。実は、「学習」という言葉は、この10年でかなり意味合いが変化した言葉です。*1

以前の学習といえば、先人たちが発見した正解の知識を自分にインストールすることを指しました。学校では、授業を受け、演習をこなし、テストを受けて習熟度を測る、このような学習を実施してきたと思います。もちろん、知識は財産になります。一般的に暗記できるような事実だけでなく、視点・観点やロジックですら、知識として身につけることができます。ただし、 VUCA の時代においては、みなさんにお願いする仕事のほとんどは「誰もやったことないこと」「正解がわからないこと」だったりします。教科書の後ろの方のページをみても解答例がないような問題に、どうやって立ち向かったらいいのか。その試行錯誤、暗中模索の足掻き方と足掻くだけの筋力を身につけることが、「学習をアップデートする」ことです。

3つの行動指針

じゃあ具体的にどうしたらいいのか、というと、3つあります。

  1. わからないこと、できないこと を楽しむ
  2. 目の前の人を理解する
  3. 自分の意志を表明する

わからないこと、できないことを楽しむ

新卒のこの時期は、新人研修などではじめてのことを山ほど体験しているころだと思います。はじめてのことって上手くできないですよね。私は、以前は(いまも?)かなりの負けず嫌いだったので、他の人と比べてできないことは避け、できそうなことや慣れ親しんでいることを繰り返しがちでした。わからない、できない、知らない、やったことないことって本当に居心地悪い。身につけたスキルで楽々暮らしていきたい。

ただ、この2年ほどの当社の開発では、やったことないことしかやってないんです。世界がどんどん変わっていく中、前例が役立たずになったり、やっていることが通用しなかったり、通用しなくなることが明らかになってきたりしています。現サービスを維持するという保守的な目標を立てたとしても、我々の技術をどんどん変えていく覚悟が必要です。みなさんはそんなチームにこれから配属されるので、ずっと「わからない仕事」、「やったことない仕事」と向き合うことになります。ふふふ。

なので、はやく「わからない」「やったことない」をてなずけて、楽しめるようになってほしいと思います。振り返ると、私自身、聞いた途端「これ、無理」と即答するような、目の前になんのとっかかりもないつるっつるの壁が立ちはだかっていると錯覚するような、そんな無茶振りこそ、あとに忘れられないことになったりしています。そして自分がどんどん成長していくんで、とても楽しいんですよ。

有名なタモリさんのセリフもありますので、ぜひ怯まないでChallenge してください。

自分の中で『これくらいの力がついたら、これくらいの仕事をしよう』と思っても、その仕事は来ない。必ず実力よりも高めの仕事が来る。それは「チャンス」だから、絶対怯んじゃだめ。

目の前の人を理解する

そんな誰もやったことない仕事に対して、どうやって最初のとっかかりを見つけたらいいのかというと、まずは課題を深く理解することです。

私たちは、ソフトウェアを提供することによりお客様の課題を解決することで、お金をいただいています。とはいうものの、いつでも先の先の先のお客様に想いを馳せろ、というのは難しいですよね。理解するってそんなに簡単なことではありません。

新卒エンジニアであれば、おそらく最初は先輩や上司から仕事を依頼されることが多いでしょう。なので、まずは目の前の仕事を依頼してきた人が、なぜこのタイミングでそのタスクをあなたに完了させてほしいと思ったのか、考えましょう。 このとき、相手のことを考えるだけでは不十分です。相手の立場になって、相手になりきって考えてみることがコツです。

これを、Synergy!プロダクトオーナーの岡村さんが「憑依させる」とよく表現するんですよね。自分以外の、立場も知識も違う人の思考の流れをトレースするイメージです。私もすぐ自分の思考にすっと流れてしまうのですが、本質を捉えるためにも意識したいことです。

自分の意志を表明する

さて、最後はアウトプットです。わからないという不安を乗り越え、依頼の本質を理解するために一回思考したら、きっとなんとか答えをひねりだすことでしょう。でもそれはかなり頼りないアウトプットにみえると思います。これで本当にいいのか、なにか決定的に間違えてるんじゃないのか、時間いっぱいまで完璧に近づけようと、同期に聞いてみたり、Google で調べてみたりしてしまうこともあると思います。

でも、仕事に唯一無二の正解は存在しません。そして、正解のない世界では、スピーディにベターな方法を選択して試していくことが求められます。そのためには、チームで協調して知恵をしぼるんです。自分一人でやらなくていい。ただ、「わからないので、先輩に答えを聞く」も違います。なぜなら、あなたも知恵をしぼるチームの一員だからです。自分の理解から「答えはこうなんじゃないか?」という仮説をつくり、自分に仕事を依頼した人にぶつけてみましょう

メンバーそれぞれが意志をもち、それを表明していくことにより、チームが相乗効果を発揮できるようになります。新人のうちは意見を求められることは少ないかもしれません。ただ、考えをまとめること、それを相手がわかるように伝えることは、それぞれスキルがいることです。知識を身につけたら、自然と自分の意志を言語化できるようになるわけではないのが、難しい。そのためには、「自分はどう考えるのか」、常に自分に問い続けること、人に話してみて、フィードバックを得ることです。経験と知識が自分の中でぐぐっとつながって広がっていきますよ。

学ぶことは楽しい

今回新卒エンジニア向けに学習について書きましたが、学習のアップデートは決して簡単なことではありません。むしろ「こうやったらうまくいった」を蓄積してしまっている我々ベテランの方が、学習プロセスそのものをアップデートすることは難しいかもしれません。

それでも、昨日、1ヶ月前、1年前の「できない」「わからない」が「できた」「わかった」「動いた」に変わるのは最高に楽しい体験で、それがエンジニアリングだと信じています。

そんな体験が少しでも増えるよう、私自身も大小さまざまな学習、チャレンジにとりくんでいきたいと思っています。この記事が新卒のみなさんの豊かなエンジニアライフのスタートの手助けになれば幸いです。

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